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女性の中の「傷ついた男性性」について

余震が続く被災地の状況を見るにつけ、私にできるのは募金すること、目の前のお客様に集中して鑑定すること、そのために自分のコンディションを整えておくことだと改めて思っています。
わずかな金額・人数ではありますが、その取り組みが少しはお役に立っていると信じていくしかありません。
被災され大変な思いをされている皆様が1日でも早く安心して過ごせる日が来ますよう、心からお祈りしています。

目次

「自立系女子」とは

鑑定を始めた当初から様々な年齢層の、いわゆる「自立系女子」のお客様とのご縁をコンスタントに頂いています。

「自立系女子」は5~6年ほど前にWebや雑誌の記事がきっかけで広まった言葉だそうです。
「考え方が男性的で頑張り過ぎる上に隙がなく甘え下手」なのが特徴「(考え方が女性的な)依存系女子」の対角の立ち位置なんだとか。
この男性的・女性的というのは以下のような性質の違いを指していると思われます。

  • 男性性:陽/縦/外向き/発展性/計画性/リーダーシップ/社会的欲求/論理性/合理性/客観性/攻撃性/義務/責任 など
  • 女性性:陰/横/内向き/感情の豊かさ/包容力/優しさ/柔軟性/共感性/安らぎ/直感/安定/休息/本能的 など

「~女子」と言うと一見カジュアルですが、この自立系女子達が「なんでそこまで頑張って男性性を発揮しなくちゃならないのか」と考えた時、複雑な事情が見えてきます。

「過剰に男性性を発揮する女性達」の特徴

Webや雑誌での定義とはズレてくるかもしれませんが、まずこれまでの鑑定の経験から考える自立系女子———つまり「頑張り屋さん」のレベルを超えている「過剰に男性性を発揮する女性達」の特徴(ひとりにすべての特徴が当てはまるわけではなく人それぞれです)を挙げてみたいと思います。

  • 自分に課せられた仕事は期待以上の出来でなければならず、責任をまっとうするのに泣き言や言い訳を一切入れるべきではないという考えを持つ
  • 一旦引き受けた以上どんな理不尽なことがあっても沈黙し、何をおいても結果を出そうとする
  • トラブルや批判・否定も自分ひとりの責任の元ですべて引き受ける覚悟を常に持たなければならないと思っている。周りの皆を守るために進んで盾になることも
  • 客観的な事実に基づく提案などは主張するが、個人的な考えや心の内を明かすことはほとんどない
  • 「できない」とは絶対に言わない、言えない。期待されているならやり遂げなければならない
  • 表には出さないが、実は内心では競争心が強く、負けん気が強い
  • 間違えることを過度に恐れてしまう。完璧でいる必要はないと分かっているのに完璧でいようとする
  • 完璧にやればやるほど、隙がないと思われて女性として扱ってもらえない
  • 周囲に上手に溶け込める女性、良い意味で隙がある女性をうらやましいと思う
  • 人に甘えられない・頼れない・「助けて」と言えない
  • 身を削ってでもサービス精神を大いに発揮してしまう
  • 「自分はこんなにきちんとしている」ことが理解されないとつらい。その行動や気持ちを周囲に伝えられればいいのに、ちゃんと伝えることもせず自分で自分を勝手に孤立状態に追い込んでしまう
  • 女性らしくありたいのになぜか粗野に振る舞ってしまうことがある などなど

彼女達の出生図の特徴とは

彼女達の真面目さはご覧の通りですが、それでも上記からはどこか頑なさや極端さ、チグハグ感も感じるのではないでしょうか。

彼女達———「過度に男性性を発揮する女性達」の出生図はもちろん千差万別なのですが、上記の点も踏まえて私が(現在の時点で)個人的に考えている大まかな共通項を以下に挙げてみたいと思います。
なお以下A~Cに加え、ノーアスペクトの天体やミッドポイントの状態は常に確認する必要があります。

A: 個人天体×土星の関与と火星(1-7ハウス)の状態

圧倒的に個人天体×土星(ハードアスペクト)、特に火星-土星の組み合わせを持つ方が多いです。とは言え単に土星が関与しているだけでは「過剰に男性性を発揮する」ケースに当てはまりません。
当てはまる場合、謙虚であると同時に強い承認欲求と怒りがセットになっているケースがあり、(全体を考慮しつつ)土星の関与と共に火星の状態、1-7ハウス(牡羊座-天秤座)の状態を見ることが重要です。
また火星が天王星か冥王星にハードアスペクトで関与する場合、強い責任感ゆえに周囲とトラブルになるケースも。

B: 土星-天王星の関与と固定宮・サクシーデントハウスの状態

「~しなければならない」的思考、つまり自分で設定したものすごく高いハードルを超えねばならないと自らを追い込むケースや一度決めたこと(引き受けたこと)は何があっても貫き通さなければならないと強迫的に考えるケースもあり、個人天体に対する土星-天王星(特にハードアスペクト)の関与に特徴が出やすい場合も。
どんなことが起きても自分の責任だと背負い込んでしまうケースもあり、出生図の固定宮のアングルや天体、サクシーデントハウスの状態も注意する必要があります。

C: 土星や山羊座-10ハウスの関与+魚座や木星・海王星との関連

土星や山羊座-10ハウスの関与が強くある前提で、太陽or月×木星(特にハードアスペクト)や魚座の個人天体、木星-海王星のアスペクトが個人天体に関連しているなどの場合、過剰に男性性を発揮しつつも犠牲的・献身的な色が濃くなりやすく、責任感の強さを利用(搾取)されやすいケースもあります。

Aさん(女性)の場合

以下はAさん(女性)の出生図です。内容共に掲載許可を頂いております。

Aさん(女性)出生図
  1. 逆行天体は水星・木星・天王星・冥王星
  2. ノーアスペクト水瓶座水星は乙女座天王星とミューチュアルレセプション
  3. ミッドポイント(HN8)ではAP=金星/海王星
  4. 魚座太陽は乙女座木星とオポジション(ミッドポイント(HN8)では木星=太陽/海王星)
  5. 月は山羊座、牡羊座火星-土星とスクエア
  6. ミッドポイント(HN8)では月=海王星=金星/冥王星
  7. 牡羊座火星はキロンと合、乙女座天王星とオポジション(ミッドポイント(HN8)では天王星=冥王星/火星)

Aさんは誰もが知る大企業で、とある部門のトップを務める方。海外出張が多く様々な国で並行してお仕事を手掛けている傍ら、人材育成にも携わっていらっしゃるそうです。

一方で弟だけが溺愛される家庭に育ち、借金を作り暴力を振るう父と、弟だけに教育熱心な母を持ち、幼い頃からすべての家事や面倒事を担ってきたと言います。
大人になっても家族3人を扶養に入れて仕送りをしていた過去もあり、現在も金銭援助を続けているAさん。別れた元ご主人にまで金銭援助をしているそうです。「憎んでいるけど、私しかいないから仕方なく」とおっしゃるのです。

Aさんの出生図リーディング

上記⑤・⑦は「ものすごく(仕事が)できる人」ということを示し、同時に自分の譲れない部分を時には強引に納得させる力・押し通せる力、人を巻き込んで動かしていける力も持ちます。
一方で人間関係において土足で踏み荒らされやすい傾向に加え極限まで我慢が効くタイプ。双子座Ascの流れを考慮しても何事もそう簡単に投げ出さない・投げ出せない義務感や責任感が強い傾向が伺えます。

ところが③・④・⑥はその我慢や苦悩を周囲の人に感じさせない雰囲気(優しげでふんわりとした感じ)をまといやすいため、本当のAさんを理解している人はかなり少ないかもしれません。
とても愛情深く優しい方ですが理想主義的な面も強く、損得抜きで周囲に尽くそうとしがち。仕事ができて我慢が効く上にキャパシティの上限の感覚の薄さもあり仕事量が対処できないほどになる可能性も。

ところがそうやって周囲や会社に身も心も尽くす一方で、②・⑦では責任を持って周囲に尽くす自分に嫌悪感や怒りを持つ一面もあり、自分の中で矛盾が強い方と推察できます。
また上記に書いた出生図の特徴としてはCに当てはまる点が多い中でAやBが少しずつ混じったケースと言えます。

女性なのに、男性性が傷ついている

なぜそこまで必死に、シャカリキになってまで男性性を発揮しなければならないのか。それは「女性なのに、男性性が傷ついているから」ではないか。
例えば自分の中に「弱い男性」のイメージの原型が刻印されているからこそ義務や責任に過剰にこだわり、言い訳をしてはならない、落ち度があってはならないと思ってしまうのではないか———鑑定を始めた当初の私はこういった仮説をひとまず立てていました。

Aさんの場合その「弱い男性」は父と弟であり、やむを得なかったとは言え幼い頃から強く責任感がある男性をなぜか自分でやろうとしていた側面もあるのかもしれません。「男に生まれていた方が私の人生もっとうまくいってたと思うし、幸せだったと思う」とおっしゃっていました。

とは言え、鑑定を重ねるうちにこういった過度な責任感を持つ方が「弱い男性の原型」を持つケースばかりでないことも分かってきました。つまり父(を始めとする家庭内の男性)との関係性が良好な方も多くいらっしゃるということです。
しかしそういった方も人間関係や特に恋愛・結婚において(特にファザコンというわけではないのに)父親(を始めとする家庭内の男性)以上の人を見つけられない、男性をなかなか信頼できないことで苦しんでいるケースなどいろいろとあります。これもひとつの「男性性の傷」なのかもしれません。

また「男性性の傷」と言えば火星-キロンの組み合わせが思い浮かびますが、(現在のところ)私個人の考えではこの「過剰に男性性を発揮する」ケースには当てはまらない、つまり別の特徴として表出していることが多いと感じています。
Aさんもたまたまこの組み合わせを持ちますが、どちらかと言えば男性(父・弟・元夫など)に傷つけられている形で表出しており、過度な責任感は上記リーディングの特徴によって形成されているものと考えています。

「男性性が傷ついている女性」の課題

彼女達は仕事を持つ持たないに関わらず、本当に優秀で努力家、忍耐力と献身性を兼ね備えておられる方が多いです。これだけ責任感が強ければどこに行っても重宝されるでしょうし、周りの人にも頼られ慕われると思います。

しかし先に書いたような「チグハグ感」もやはりあって———最後に「男性性が傷ついていることによって引き起こされやすい課題」を挙げてみたいと思います。

周りの人を追い詰めてしまうことも

責任感を持ってすべて引き受けるつもりでいる。周囲の人間にとってこんなに頼もしいことはないでしょう。
しかしこのガチンコ気質が逆に周囲の人を息苦しくさせたり追い詰めたりしてしまうこともあるというケースも実際に多くあります。

表裏一体である「自立と依存」

自立している=自分軸で生きているように見えて、実際は他人軸=社会的な価値観(例:周囲に認められなければならないなど)に振り回されている(依存している)ことが多いため、自分への評価が自分の中でいつまで経っても安定しない課題は出てきやすいと思っています。
普段から張り詰めている分、数少ない理解者に依存しやすい面、共依存になりやすい面も。

社会にとって「都合の良い」性質でもある

「周囲に認められるための他人軸的な思考」であるということは、つまり社会や家族、もっと言えば男性の立場に立って物事を考えられるため「都合の良い存在」になりやすい迎合しやすいということでもあります。

冒頭の「自立系女子」も「彼女にするなら頼れる自立系女子が最高」と指南するメディアもあるそうです。
精神的にも経済的にも自立していて、真面目だから浮気の心配もないということらしいのですが———確かに付き合う側としては楽で安心な相手でしょう。ただそれは責任感の強さを利用されているということなのかもしれません。実際、秘密を守れる不倫相手として誘われるケースもあるのです。

過度な責任感は「傷」でもある


占星術の視点で男性性・女性性を考えた時、単なる生物学的な性別でひとくくりにできない、ひとりひとりが持つその複雑さに興味が尽きません。

例えば男性性も女性性も両方傷ついている女性、男性性が特に傷ついている女性、女性性が特に傷ついている女性———本当に様々です。
また男性として生まれ性自認が男性であっても「生まれてくる性別間違えました(笑)」とおっしゃる「女性性が傷ついている男性」も。

占星術で「傷」とは外から傷つけられるだけでなく自分で自分を傷つける性質も大いに含まれていると考えます。
出生図は変えられないからそういった衝動が湧きあがってくるのは仕方がない。でも無茶なことをしたり過度な責任感を持ったりして自分で自分を傷つけてるんじゃないか?ということを自覚することはできる。
占う側として、そういった気付きを促せるようになれたらと思っています。

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