t魚座土星について

「魚座土星的な出来事」とは？

2023年3月のイングレスの少し前あたりから「魚座土星的な出来事」が起こり始めていると個人的に感じていました。
その影響は国内ニュースだけでもざっとこれだけあります。

無法地帯に規制が入る時

つまり、これまでバレなかった・規制されなかったのを良いことに無法状態でめちゃくちゃやっていたことが明るみに出る・メスが入る、といった影響です。
魚座は「”すべて”を内包する」サイン。美しい心や高い志だけでなく、犯罪や詐欺、依存、裏社会での不正なども同等に包み込むからです。

また例えばジャニー喜多川氏による長年の性加害問題だけでなく、有無を言わせないほどの圧倒的な権勢を振るってきた旧ジャニーズ事務所への忖度であったり、絶対的な上下関係の元に旧時代的な従属を強いていた宝塚歌劇団の体制であったりと、山羊座～水瓶座間のt冥王星の影響と相まって新しい時代の考え方にふさわしくあるための破壊や是正といったニュアンスも色濃く表れているように思います。

魚座は単純なサインではない

そうなると「これから新しい時代に向けて世直しが進むかも！」と期待してしまうのですが、魚座は(その支配星の海王星含めて)そんなに単純なサインではないのも事実です。

例えば批判が大きくなったためやむなく介入するように「見せかけて」いたり、表向きでは批判していたとしても実は裏ではすでに話がついていたりすることもあるかもしれません。
また表面上で是正したはいいけれど根深い問題が残ったままでより混乱を招くようなことも実際起こりやすいのではとも思います。

とは言え、土星は常識を著しくはみだしたもの、やりすぎて無法地帯になっているもの、怪しくて曖昧で実体がよく分からないものにメスを入れるきっかけになるのは確かです。

前回t土星が魚座にイングレスした1993年には自民党の金丸副総裁による総額20億円ほどの巨額の政治資金法違反・脱税がたった20万円の罰金で処理されたことが発覚。それを許した東京地検特捜部には批判が殺到し紛糾、自民党が敗北し政権が変わりました。
奇しくも現在、自民党の複数の議員によって同じようなことが起きているのは歴史の転換点だからなのでしょうか。

2023年11月に0度台で順行に転じたt土星が改めて魚座を進行していこうとする現在、以前の記事で書いたことも併せて、私達自身が今後の社会や未来に向けて魚座土星を意識することも必要になってくるのではと思っています。

個人への影響 ～Aさん(男性)の場合

個人への影響も毛色は違えど基本的には似ています。
以下はAさん(男性)の出生図です。内容共に掲載許可を頂いております。

Aさんからお申込時に頂いたご相談内容は約4万字。
ショーペンハウアーの引用から始まる様々な哲学の概念について書かれた文章はAさんご自身の現状への言及が一切無いのもあって私には難しかったのですが、内容を読む限り、つまりは「運命は決まっているのか？」ということに帰結するご相談ではないかとひとまず仮定していました。

Aさんの出生図リーディング

8室蟹座水星に対し魚座木星や射手座Asc-土星にそれぞれトラインを持つAさんのそもそもの洞察力や知能の高さはご相談内容にも充分に表れていたわけですが、そのトラインも含めAscが射手座2度、獅子座太陽が9ハウスにあり10～11ハウスの天秤座月が山羊座火星-海王星にそれぞれスクエア。

この月は水星/木星のミッドポイント(HN8)でありAPも火星/木星といった象意が目立つことなど考え併せると、Aさんの「知能の高さ」は「具体性の乏しさ」と表裏一体であって———つまり哲学という抽象的で壮大な概念を追いかけるために大風呂敷を広げるだけ広げてしまって収拾がつかなくなる感じ、思考が広く取っ散らかりすぎて自分でも何を焦点にしたらいいのか常に混乱し分からなくなっている感じがかなり強調された出生図と言って良いと思います。

こういった「自分でも何をやりたいのか分からないくらい取っ散らかる」傾向は双子座-射手座や3ハウス-9ハウスの強調、個人天体に対する木星や海王星の関与を持つ出生図を持つ方には程度の差こそあれよくあるケースではありますが(もちろんこの特徴を持っていても出生図によっては適切に制御されている方もたくさんいらっしゃいます)Aさんの場合は極端なケースと言って良さそうです。

しかしそれはひとえに現状維持を良しとしない、常に自分を高いレベルでアップグレードさせていこうとする強い衝動があるからこそ。
お人柄としては(浮世離れしているけれど)内気で真面目、穏やかで優しく繊細な方ですが、おそらくこの出生図の感じだとその衝動が普段の生活にも良くも悪くもかなり影響を及ぼしているのではないかと(準備段階の時点で)懸念がありました。

分かってきたAさんの現状

Aさんは鑑定の場でも哲学についてお話ししようとするため、まずは「どんな運命がAさんを縛っているとお考えですか」とお伺いしてみたのです。
そのやり取りの中でやっとAさんの状況が少しずつ分かってきました。

以下は鑑定開始時の3重円と2024年3月の月食図を重ねたものです。

つまり精神的な不安感がかなり高まっているところに、土星の関与が強くある星回りなのです。
私には「これからも(働かずに)自分の運命について考えたい」とおっしゃいましたが、Aさんご本人もどこかで「このままではダメだ(限界だ)」と感じていることが推測できる星回りでもあり、(私はお医者様ではないのであくまで占星術の観点での話ですが)思索が行き過ぎて精神に強い負荷がかかっている感も見て取れるのです。

しかし同時にこの星回りは閉塞的な現状から抜け出すチャンスでもあります。
「Aさんひとり」の世界から、周囲の人の力を借りたり一歩外に踏み出したりして生活基盤そのものを変えていけるようなご縁につながる機会がやってきているのです。

失望したAさん ～t土星の介入とは

実際Aさんのような出生図を持つ方にとってこの星回りはかなり精神的に苦しいと思われますが、それでもこういった土星の関与が強い・土星の介入がある時期は、例えば少しずつでも食事をしお風呂に入るなど生活を整えたり、週に1日短時間だけでも働いてみたり、精神の負荷を少しでも和らげるために病院に行ったりすることが必要になってくるのではないか。
その先に本当の意味での「人生の核心」や「自分の運命に宿る意図」があるのではないかとお伝えしたのです。

するとAさんはポカンと口を開けてしばし沈黙した後、みるみる失望の色を表して「そんなこと言われても……」とおっしゃいました。

Aさんとしてはもっと占星術と運命、哲学にも関連する「壮大な何か」を聞けると思ってお申し込み下さったのでしょう。寝る間も惜しんで大きな概念に没入するAさんにとって、私の言葉はあまりに期待外れだったのだと思います。

またこういったことをAさんにお伝えした私の占い師としての判断自体にも賛否があるでしょう。Aさんの思索を助けるような占星術の概念などに橋渡しするのが本来の占い師の役割なのかもしれません。

しかしそれでもこの星回りは「これ以上このままの状態は続けられない」ことを告げていますし、ある意味行き過ぎた域に達していると推測できるAさんに外部が介入するチャンスが来ているからこそ、これからもっと思索を深めていくためにもまず必要なこと(＝土星)を少しずつでもやっていく時期だということを言葉を尽くしてお伝えすべきだと判断したのです。
そして私自身もAさんに介入するご縁あるひとりなのだと。それは鑑定開始時の図(コンサルテーションチャート)にも表れていたように思います。

双子座・乙女座・射手座・魚座に天体やアングルを持つ皆様へ

土星が巡ってきた時は、よく言われるようにライフステージが変わったり責任が重くなったり腹を括らねばならないようなことももちろんあります。前半で書いたように、なんとなく心の赴くままあれこれやってきたことに外部から釘をさされることもあるかもしれません。

しかしそれはひとえに人生の大まかな方向性を定めるため・これからも長く持続可能な状態にするため。
あちこちやっていてはいつまでも定まらず不安が募るばかりですし、過多の状態・目一杯の状態はいつまでも続かないからです。ずっと持続させるために、行き過ぎたものを削る・減らす・絞る必要性を示してくれるのです。

ですから双子座・乙女座・射手座・魚座に天体やアングルがある皆様も、

といったことを意識すると、自分の長所が発揮できる、より持続可能な未来・将来につながりやすいのではと思っています。

鑑定から一週間以上経って、Aさんから「一度病院に行ってみようと思いました」とメールを頂きました。
t土星は精神的に苦しくてどうしていいか分からなくても、方針を絞って一歩踏み出せば強い基盤を作ってくれる天体です。Aさんがこれからも思索を持続させていくための大きな一歩になると思っています。