MENU

HOME
ホーム

ABOUT
桐吉謳子について

BLOG
占星術ブログ

DIARY
星回り日記

SESSION
占星術個人鑑定

LECTURE
占星術講座

山羊座-水瓶座の狭間にいるt冥王星について ~「家庭の幸福は諸悪の本」?

最近の物価や電気代の高騰・税金の高さに、いつもドンブリ勘定の私も節約モードです。
そんな中でも政府や政治家の失策・不祥事は相も変わらず、増税に次ぐ増税……日々報道と星回りを見ながら太宰治の言葉について考えを巡らせています。

家庭の幸福は、諸悪の本(もと)。

―太宰治「家庭の幸福」より

このエッセイは1948年、死後すぐに発表されたものです。
以下、概要を書いてみます。

目次

太宰治「家庭の幸福」概要

「官僚が悪い」という言葉。
筆者(太宰治)にとっては使い古されていて陳腐で、むしろ努力して官僚になったのだから少々威張るくらいいいのでは?と思っていたのですが、ある日「街頭録音」というラジオ番組を聴いて激怒します。

「街頭録音」とは民衆が街頭で意見を述べるという、大人気の視聴者参加型番組。
この日のテーマは「政治について」で、官僚と民衆が意見を述べ合う形式でした。

ところが民衆が懸命に意見を言えば言うほど、官僚は曖昧な言葉を返すだけ。
真剣な意見交換の場で終始笑いながら無難にいなそうとする官僚に、筆者は「極度の憎悪」を感じ、涙を流すのです。

怒りに任せてラジオを消した筆者は想像します。
あのヘラヘラ笑いは民衆を軽蔑するための笑いではない。
わが身と立場を守るための笑いではないかと。

きっとあの官僚の家では、妻や子供達が放送日の今日を指折り数えて待っていたに違いない———
ラジオからお待ちかねの父の声が流れ、家族皆が父への尊敬と誇りを胸いっぱいにして顔を輝やかせている。肝心の答弁も「大過無し」、これで省庁からの評判も上々だろう。
この官僚は今日の放送によってさらなる最高の家庭の幸福と平和を得るのだろうと。

「街頭録音」収録風景
父のラジオ出演によって
家庭は幸福の絶頂、でも…?

もちろん家庭の幸福を望まない人なんていない。人生最高の目標であり栄冠である。
しかしそれを得るために、この官僚は討論相手を苦しませ、筆者を激怒させ泣かせたのだ。

つまり「官僚が悪い」という言葉の地軸、いわゆる「官僚的」という言葉の大元を辿っていくと、「家庭のエゴイズム」に行きつくのではないかと。

筆者だって家庭の幸福、身内の幸福を心から望んでいる。
しかし、とある家庭が幸福になる・身内が満足することで、裏で誰かが苦しんでいるのではないか。
「家庭の幸福は、諸悪の本(もと)」なのではないかと葛藤するのです。

蟹座-山羊座の象徴として考えてみる

太宰治が言及していることは、蟹座(家庭)-山羊座(官僚)の象徴のひとつと言えます。
例えば冒頭の「日本の政府・政治家」というワードひとつ取ってみても、

  • 世襲:「政治家の家系」が存在し、地盤や特権を子や親戚に引き継ぐ
  • 利権:有力者や資産家・特定の団体や業界と強く結びつき、お互いの利益のため便宜を図る
  • 閉鎖的:高額な供託金やコネクション重視など、一般人が選挙に立候補しづらい状況

など「政治家の家族・仲間内での幸福のしわ寄せが国民に及んでいる」現状がありますよね。
仲間内で利権を分け合った東京オリンピックでの汚職や大阪万博の問題、公私混同が指摘された岸田首相・ご子息の不祥事などなど、記憶に新しいところです。

共に潤し合い、狭い仲間内で地位や名誉を与え合い、讃え合い、家族や身内・仲間内は幸せいっぱい。不祥事があっても隠され、守ってもらえます。ますます仲良く絆を深め、便宜をこれまで以上に密にはかり、より結束を固めるのです。

それだけ長年努力して作り上げてきた牙城はあまりに巨大で堅固、そう簡単に壊せるものではなさそうですし、実際一般国民は政治に参加しないよう何も考えず上から与えられたものに従うよう骨抜きにされてきた面もあります。
これらも蟹座-山羊座の象徴のひとつではないでしょうか。

「社会の根幹」を担う蟹座-山羊座

こんな風に書くと蟹座-山羊座が悪いと主張しているように誤解されてしまうかもしれませんが、まったくそうではなく、そんな単純な話でもないように思います。

むしろ蟹座-山羊座は帰属意識や自分の基盤、安心感をもたらす無くてはならない社会の根幹。
社会が今現実的に回っているのは、会社で、お店で、組織で、上の方針に従って真面目に働くたくさんの人達がいるからですし、働かなくても電車やバスに乗ったり何かを買ったりして消費活動をしている人達がいるからです。

私達は多かれ少なかれ、誰もが蟹座-山羊座の一員として生きていると言えます。

子午線軸(MC-IC軸)が示す「私達の根幹」

さらに歴史が古く島国である日本(日本人)はホロスコープで言うところの子午線軸(MC-IC軸)の影響が特に強いのではと思います。つまり蟹座-山羊座ラインです。

例えば散っていく桜に美を見い出すような、連綿と受け継がれてきた日本人独特の感性や考え方が今も私達の感覚の基盤にあるからです。
かつては「家の領土や名誉(蟹座-山羊座)」を守るため血で血を洗う争いをしてきたのも、家のために死を選ぶことがあったのも、その基盤の一部に残っていると思われます。

そして子午線軸の影響が強いということはそれだけ「縦社会」であるとも言えます。
家庭でも、お店でも、学校でも、会社でも、国でも、縦社会は頂点に偉い人がいて、そこから与えられたものを何の疑問も持たず受け止めたり、疑問を持ったとしてもひたすら苦しみに耐えて自分の内側で消化してきたりしてきたわけです。
それは「偉い人のやりたい放題」が成立する社会であるとも言えます。

1911年にアメリカで作られた「資本主義的システムのピラミッド構造(Pyramid of Capitalist System)」というポスターにも蟹座-山羊座の象徴でもある資本主義の縮図、最下層にいる労働者が搾取され続ける様子が描かれています。

1911年 “Pyramid of Capitalist System”
  1. 各層には英語とフランス語でそれぞれ言葉が書かれている
  2. 1層目(金袋):「資本主義」
  3. 2層目(王族・貴族):「我々はあなたを支配する」
  4. 3層目(枢機卿・司祭など):「我々はあなたを愚かにする」
  5. 4層目(軍人):「我々はあなたを撃つ」
  6. 5層目(中流層):「我々はあなたのために食べる」
  7. 6層目(労働者):「我々は全員のために働く」「我々は全員を養う」
    ※6層目(最下層)には赤旗(社会主義の象徴)を振っている者もいる

特にこの「最下層」には資本主義と社会主義、山羊座と水瓶座の根幹が地続きになっているということも示されています

ではその「社会の根幹」であり「私達の根幹」である山羊座-蟹座の最後の度数域にt冥王星という「時代を表す天体」が行ったり来たりしているのはどういうことなのか。

参考として、水瓶座の対向であるt獅子座冥王星期間やその世代について考えてみたいと思います。

獅子座時代・獅子座世代を振り返る

獅子座-水瓶座は蟹座-山羊座を否定します。
つまり帰属さえしていれば守られ安心だった場所———もっと言えば、何も考えず与えられたもので満足していた&自分を無理やり納得させていた場所を自ら出て、どうしようもなく湧き出してくる強い自己衝動や確固たる意志・理念を持って一歩踏み出すのが獅子座-水瓶座ラインだからです。

対のサイン・ハウスはもちろん
同じ意味ではありませんが
常に表裏一体です
t冥王星水瓶座を理解するには
獅子座時代・獅子座世代の
振り返りが必要と思います

獅子座冥王星期間は(おおよそ)1938年(昭和14年)~1957年(昭和34年)くらいまで。
1939年、つまりt冥王星が蟹座と獅子座の間を行ったり来たりしていた年はヨーロッパにて第二次世界大戦が始まった年です。

約2年後に参戦した日本は「原子爆弾を落とされる」という類を見ない悲惨な状況で終戦を迎えます。
政府に主導されるがまま国のために耐え、戦って命を落とした蟹座期を否定するかのように、居食住において外国の文化が急速に流入、あらゆる娯楽が一気に解禁され好景気の波にも乗りました。

中でも作家石原慎太郎の小説から生まれた「太陽族(非道の限りを尽くす無軌道な若者)」や、終戦前後生まれの一部が成長後「全共闘」として活動したのも象徴的です。
もちろんそういったことに参加せず静かに暮らしている人がほとんどではあったでしょうが、象徴としては強い自己主張と権威・権力の否定、体制批判を激しく繰り広げるような、そういった素地を持った世代と言えます。(全共闘の活動自体は乙女座天王星-冥王星合時代、1965年頃より発生)

非常に強い「反逆のエネルギー」

特に全共闘においては、本来体制側と建設的に話し合うための団交が暴力を肯定する方向になったことは否めません。
体制側を良くするために情熱や理想・理念を持って立ち上がったのに、結局は自分達が体制側(権力側)に立ち反対意見を徹底的に排除する……といったような矛盾も少なからず起こりました。山羊座と水瓶座が支配星(土星)を共有しているゆえの難しさだと思います。

現在ではロシアとウクライナ、イスラエルとガザの間で悲惨な戦争が続いていますが、小さなところでは射手座冥王星世代、いわゆるZ世代の欧米の若い環境活動家による文化財を標的にした抗議活動や道路封鎖など、いわゆる「エコテロリズム」が問題化しつつあるそうです。

ドイツ ブランデンブルグ門に
スプレーで着色
ゴッホ「ひまわり」に
トマトスープをかける
イタリア トレビの泉に
炭入り液体を撒く

長く大切にされてきた文化財を傷つけてでも、たくさんの人に迷惑を掛けてでも、主張したいことがある。
獅子座-水瓶座ライン、特に初期度数はどうしても過激になりがちです。とは言え、強い「反逆のエネルギー」に満ちていることが分かります。

時代の変わり目に私達は何をすべきか

そう考えると、生まれたばかりの・今後生まれてくる水瓶座冥王星世代が担うのはまさに「古い習慣を刷新していく新しい世代」

獅子座でなく水瓶座なので、それこそ環境問題など「全体の利益」についてもこの新しい世代によってより具現化されていくのではないかと思っています。

でもそれはもっともっと先の話。
今、この時代の変わり目にいる私達がすべきこと、そのひとつはこの「反逆のエネルギーを持つ」ということではないかと考えています。

理想・理念を持ち問題提起し続ける

と言っても全共闘やエコテロリスト達のように振る舞うというわけではありませんし、彼らに賛同・肯定しているわけでも一切ありません。
特にエコテロリスト達は写真や動画を見てもまだほんの子どもで抗議も稚拙です。周りの人に大変な迷惑をかけて、現地でも相当怒られたり呆れられたりしているようです。

それでもこの「みんなに迷惑をかけないよう、悪目立ちしないよう、みんなと足並みを揃えて何も言わず現状を受け入れておとなしくしている」ということ自体が蟹座-山羊座的であるとしたら?

もちろん迷惑を掛けるのはダメだとしても、この時代の変わり目、もっと言えば水瓶座の初期度数に冥王星がいる内に「たとえ現実的でなくても、稚拙であっても、これまでの根深い問題点を踏まえて新しい理想・理念を示し続ける&問題提起し続けてみる」ことが結果的に新しい常識を作ることにつながっていくのではと思うのです。

しかし新しい理想・理念や問題提起=火種でもあります。
今後は意見の相違から議論だけでなく争いにも発展しやすいということもセットで考えなければならないように思います。

「甘え」と「思考放棄」から脱却する

また前述したように蟹座-山羊座の影響が強い私達は民族レベルでどうしても搾取されやすい基盤を持っているのではないかと考えていますが、逆に「私達も偉い人にすべてをゆだねすぎていなかったか?」「”立場”に対する過度な期待や甘えが強すぎるのではないか?」という発想の転換も必要なのではと思うのです。例えば、

  • 日本が低迷しているのは政治家が仕事をしないからだ。国が悪い
  • いじめが無くならないのは先生がしっかりしていないからだ。学校が悪い
  • あの銘柄が儲かると言ったから投資したのに損をした。銀行が悪い


などなど一見ごもっともな指摘ですが、一方で何かの役割を持つ人に自分の大切な今後の生活設計や家族のことを丸投げしすぎていたり「〇〇なんだから△△であるべきでしょ」と完璧な仕事を期待しすぎていたりするある種の「甘え」「思考放棄」も蟹座-山羊座が持つ象徴のひとつなのではと思うのです。

立場がある人に任せておけば、自分達は何も考える必要がなく平和に生活が送れる。
これからはそういう時代ではなく、自分で情報を集め考える、時には声をあげることが必要になってくるのではと思っています。

本当の意味での「家庭の幸福」のために

とは言え、当然ながらこんな方も大勢いらっしゃることと思います。

反逆のエネルギーを持ったからって、声をあげたからって、叩かれるだけで得することなんてひとつもないのに、なんでそこまでしなくちゃいけないの?
全体の利益なんて関係ないよ、私は自分の仕事や趣味で手一杯だよ……

そもそも「水瓶座冥王星時代はどんな時代?」といったマンディーン(社会や世界の情勢を読む)を、個人の状況や運勢に当てはめて考えること自体、ちょっと無理があるんですよね。

水瓶座冥王星時代に本気で取り組むということは、家庭の幸福や個人の未来を捨て、社会のため・日本のため・世界のために自分の身を切って貢献するような意識を持って初めて成立し得るものだからです。

しかしそこまでできなくても個人や家庭で、小さな単位からできることはあると思っています。
新しい時代が来るのは止められませんし、どうしたって意識は変わるし、どうしたって情勢は変わることになる。

「自分と自分の身内だけが良ければそれでいい」時代から「自分だけ幸せなのは本当の幸せじゃない」という時代に移行するのです。

そのひとつとして水瓶座が示す「未来」———今いる子ども達が大人になった時にちょっとでも社会が過ごしやすくなっているように、今の私達の世代が変えられるものは変えておこう、という行動でも良いと思うのです。

一番心安らぐべき場所である家庭や自分の基盤となる職場や居場所で搾取されすぎないために、長いものに巻かれすぎないようにするために、もっと言えば未来の自分がもっと生きやすくするために「反逆のエネルギー」を使ったり声をあげたりしても良いのではないかと思うのです。

2024年11月20日に本格的に水瓶座に入るt冥王星ですが、「家庭の幸福が諸悪の本(もと)」になるのではなく「家庭の幸福がすべての基盤」とするためには私達国民レベルでの目覚めや反逆のエネルギーが必要で、2023年11月現在、山羊座-水瓶座の狭間にいるt冥王星はそこを強く刺激し問題提起を促す流れを作っていくのではと思っています。

よろしければ
フォローをお願いします

コメント

コメントする

目次