Aさんとの出会い
私と同じ生年月日のAさん(女性)から以前のブログにコメントを頂いたのは2020年11月、「私達の」n太陽-n天王星オポジションのラインで個人秋分+蠍座新月が起きた日のことでした。
こんな辺境のブログを同じ生年月日の方が見つけて下さった!と嬉しく感動したのを覚えています。
その後何度かオンラインで鑑定させて頂いた後、2024年2月、私達の月回帰(長いボイド中でした)の日にお互いの自宅が割と近いのもあって初めて直接お会いして美味しいランチ&お茶してきました。
この日個人的に感じたのは、容姿も雰囲気も育った環境も何もかも違うけれど、長い間心の深い奥底に沈んでいたうまく言葉にできないようなものをお互いが不思議と理解し合えている、という感覚でした。
また当たり前の話ではあるのですが、ほぼ同じ出生図であっても「ハウスの違い」「ミッドポイントの違い」などがこれほどまでに実際のキャラクターに違いを生むことへの実感でした。
今回、Aさんに内容含め出生図掲載のご許可を頂きました。
自己満足的な記事になってしまうのですが、こういったケースを検証できる機会は少ないですし、興味を持って下さる方の何かご参考になれば…ということで、この違いを書き記しておきたいと思います。
桐吉とAさんの出生図の特徴
逆行天体は土星・天王星・海王星・冥王星。この乙女座土星はノーアスペクトです。
私もAさんも場所は違いますが西日本生まれです。出生時間は私の方が早く、約5時間違います。
ですからアングルはもちろん、月の位置も約2度違ってきます。
私達の場合太陽も度数が1度違うのでミッドポイントやハーモニックで見る場合も差異が生じることになります(もちろんアングルに対するアスペクトもそれぞれ違ってきます)。
- 太陽を頂点とした天王星-海王星-冥王星とのブーメランヨッド(セミヨッド含む)。桐吉よりAさんの方がタイトである
- 天秤座月-冥王星合もAさんの方がタイト。そこに対し牡羊座金星・火星(-水星)がそれぞれオポジション。Aさんの場合それらを軸として射手座海王星-獅子座MCと共にカイトを形成
- AさんはMCに対し太陽-天王星がタイトにTスクエア、桐吉はMCに対しノーアスペクトの土星がゆるくスクエア
- ミッドポイント(HN8)では桐吉がタイトな月=土星/天王星なのに対し、Aさんは月=太陽/ノード。この太陽はタイトな太陽=海王星/冥王星。桐吉も同じ太陽=海王星/冥王星を持つがタイトではない
- ミッドポイント(HN8)では桐吉のAP=火星/土星。AさんのAP=太陽/Asc=天王星/Asc=火星/土星。このAscは桐吉の場合Asc=金星/冥王星=太陽/海王星だが、Aさんの場合Asc=土星/冥王星 などなど
Aさんの出生図リーディング
上記の特徴を踏まえて、かなりざっくり大まかですがAさんの出生図を見ていきたいと思います。
冷静さ・客観性を持ち合わせると同時にかなりおとなしい、秘めた印象を与えやすい傾向。
実際普段は主張も口数も少なく控え目、とても優しく穏やかな方ですが、一旦スイッチが入ると理路整然と論理的に話ができる方。譲れない主張を静かに押し通していくような圧の強さも持ち合わせるでしょう。
その話の中には現実的で的確なアドバイスをすることに長ける要素———つまり元々持っている観察眼の鋭さで物事を様々な面から見て分析・批判・改善しようとする要素———も大いにありそうです。
事業をされているAさんのご主人様いわく、Aさんはやはり「軍師・参謀」的な立ち位置でいらっしゃるそう。
その「軍師・参謀」的要素は11~12ハウス月-冥王星に6ハウス金星が貫くカイトを形成していることでも強化されています。
現実をありのまま見て判断する力と共に非常に献身的なサポートと深い愛情をどこまでも注ぎ続ける方。例えばご主人様の事業の金銭面の管理などもそのひとつですし、そういったところに強い適性もあると言えます。
この献身性はお母様にも向けられていました。
様々な家族の事情を抱え、苦労されたお母様。幼い頃から二人三脚で問題に対処しつつも、Aさんご自身は複雑な思いも抱えていたようです。
とは言え他者の干渉を跳ねのける感じ、他者を寄せ付けない感じ———深刻な状況でも身内で・自分の中でなんとか解決しようとする傾向。
もっと言えば自分ひとりで解決できてしまう能力が高いのもあって、ご主人様ともお母様ともそれぞれある種独特の「誰にも侵されない空間」を作りやすい、(いくらカイトやブーメランヨッドを持っていたとしても)実際は「閉じた感じ」になりやすいとも言えます。
桐吉との共通点と違い
ノーアスペクトの逆行乙女座土星は私もAさんもどちらも「父親問題」として表出しています。
頼ることが難しい、子どもにとっての精神的な支柱にならない父親。
私の場合は5ハウス支配星、Ascにゆるく合のためアイデンティティの問題にもなってきますが、Aさんの場合は3ハウスの支配星。実際にご兄弟の問題も抱えていらっしゃるのです。
特にAさんは10ハウスにあるため、元々強い献身性が義務感としてさらに強調される形になりやすいと言えます。
私自身はAさんのようにおとなしく秘めた感じではなく「明るい開けっぴろげ」キャラですが(汗)、気難しくこだわりが強い面はAさんより強いのです。
一方で、あくまで内側に向かっていくAさんに対し、私は外側に活路を求める違いもあります。
そして強く深い愛情傾向やある程度の細やかな献身性は共通しますが、私はAさんほど長期に渡るサポートはできない(特に金銭面の管理など)ですし、参謀的要素はあれどそこに徹しきれない面もあるのです。
……といった感じで、同じ生年月日同士は特に、こういった細かい違いを「ほとんど同じであるアスペクトやサイン」だけで読み切るのは難しいと感じます。
やはりハウスとその支配星の流れ、ミッドポイントなどで考えることが必要になってくるのですが、特に最近はハウスについてずっと考え続けています。
ハウスシステムの難しさ
先日、鏡リュウジ先生が同時通訳されたニコラス・キャンピオン博士の「現代占星術の驚くべき歴史」を受講した時に印象的だったのは、ヘレニズム時代の占星術が再興しホールサイン(※注1)を使う方が増えている今、博士がホールサインではなくプラシーダスを使うとおっしゃったことでした。
ホールサイン・ハウスシステムのこと。Ascのサインがそのまま丸々1ハウスになる。例えば牡羊座29度がAscであっても、1ハウスは牡羊座0度から始まり30度までというシステムのため、MCが9~11室のいずれかに入る特徴がある。
私自身もプラシーダスを使いますが、時々高緯度地域にお住まいの海外のお客様を拝見する際はコッホやイコールで見ることもあります。(高緯度地域をプラシーダスで見るとハウスの大きさが極端に偏るのです)
ただ日本生まれの方が高緯度地域に移住した際のリロケーションチャートを見る時、ハウスの支配星の流れなど考えるとその対処が本当に適切なのかどうか、自分でも厳密にはよく分かっていない、確信が持てない面があります。
またこれは私の勉強不足なのですが、ホールサインを使う時、個人が持つ偏った独自性・突出した独自性をサインやアスペクト以外でどう具体的に見ていくのか、またハウスの支配星の流れから個人の資質に細かくフォーカスする時にどう見るのか、そういった場合はプラシーダスの方が適切なのではないか。
しかし高緯度地域も含めて複数の人を同条件で見ていくとなるとイコールやホールサインが適切なのではないか……と、もちろんどのハウスが正しい!というわけではないと思うのですが、もしかしたらハウスを組み合わせてみるとより現状に肉薄していけるのではないか、見たいテーマによってハウスを変えるのが良いのか、などよく分からないままグダグダと考えているところです。
ハウスの問題については皆川剛士先生が翻訳されたデボラ・ホールディング著「ハウス 天空の神殿」にも詳しく書かれています。何度も読み返したいと思っています。
プラシーダスは実際の現状とリンクする
とは言え今回、私とAさんの出生図をプラシーダスでよくよく見比べることで———これは私もAさんも日本という中緯度地域にいるからこそなのですが———やはりプラシーダスで見るハウスの違い・プラシーダスで見るハウスの支配星の流れの違いは、実際のキャラクターの違いや特性・適性の違いと明らかにリンクする、と考えて良いのではないかと再認識した次第なのです。
Aさんと出会えたこと、お会いして楽しく美味しいランチ&お茶ができたこと、普段人には話さないようなことを打ち明け合えたこと。
そしてAさんのおかげで、同じ生年月日同士、根本的に痛烈に通じ合えるところはあれど、やはり人というのはひとりひとり唯一無二の複雑さを持った存在なのだと実感することができました。
またAさんのご協力によって、ずっと悩んでいたハウスの問題に検証しながら取り組める機会ができたことに感謝しています。
その取り組みが私達のようなケースや双子など、より細やかな違いを知りたい、というお客様のお役に立てればいいなと思っています。
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